シーシャ(水たばこ)は、ここ数年で日本の街でもすっかり見かけるようになりました。でも、その歴史は数百年前にさかのぼります。この記事では、シーシャの起源と名前の由来、世界に広がった経緯、そして日本のシーシャブームまでを、研究論文や公的機関、百科事典の情報をもとにたどります。
シーシャはどこの国のもの?
シーシャは、特定の1つの国のものとは言い切れません。世界保健機関(WHO)は、水パイプによる喫煙がアフリカとアジアで少なくとも4世紀前から行われてきたとしており、Japan Shisha Times も、起源については確かなことはわかっておらず諸説あるとしています。よく知られているのはインド起源説で、「シーシャ」という呼び名はペルシャ語で「ガラス」を意味する言葉に由来します。その後、1990年代初めからフレーバーたばことともに、まず中東で、続いて世界各地に広がりました。くわしい経緯は、以下で順に紹介します。
シーシャの起源:少なくとも400年前から
世界保健機関(WHO)は、水パイプによる喫煙は、アフリカとアジアで少なくとも4世紀前から行われてきたとしています。
ただし、どこで最初に生まれたのかは、はっきりしていません。専門メディアの Japan Shisha Times も、起源については確かなことはわかっておらず諸説あるとしています。
よく知られた説のひとつが、インド起源説です。WHO の資料を引用した研究では、水パイプはインドで、ハキム・アブル・ファトという医師によって考案されたと伝えられています。ただし、これも数ある説のひとつとして受け止めるのがよいでしょう。
名前の由来:シーシャ、フーカー、ナルギレ
水たばこは、地域によってさまざまな名前で呼ばれています。2004年の研究論文は、「ナルギレ」「アルギーレ」「シーシャ」「フーカー」「ゴザ」「ハブルバブル」といった呼び名を挙げています。
| 呼び名 | 由来 |
|---|---|
| シーシャ(shisha) | ペルシャ語で「ガラス」を意味する言葉から(Japan Shisha Times) |
| フーカー(hookah) | アラビア語で「壺・容器」を意味する言葉から(1911年版ブリタニカ百科事典) |
| ナルギレ(narghile) | ココヤシを指す言葉から。最初の水の容器にココナッツの殻が使われていたためとされる(1911年版ブリタニカ百科事典) |
| ハブルバブル(hubble-bubble) | 水がぶくぶくと泡立つ音から(1911年版ブリタニカ百科事典) |
1911年版のブリタニカ百科事典は、水たばこがインドやエジプトなど「東方」で一般的だったと記しています。日本語では「水たばこ」、または英語圏から入った「シーシャ」という呼び方が広く使われています。
一度は「年配の男性の習慣」に
シーシャは長い歴史を持つ一方で、20世紀の後半には衰退していた時期がありました。2015年に Tobacco Control 誌に掲載された、水たばこの世界的な広がりを分析した論文によると、1990年代より前は、水たばこの利用は減少傾向にあり、次第に年配の男性に限られたものになっていたといいます。
1990年代:フレーバーたばこで世界へ
状況が変わったのは1990年代初めです。同じ論文は、1990年代初めから、水たばこが若い世代のあいだで広がり始め、まず中東で、続いて世界のほかの地域へ広がったとしています。
そのきっかけとして論文が挙げているのが、次の4つです。
- フレーバー付きのたばこ(マアセル)の登場:たばこを糖蜜やグリセリン、果物のエッセンスと合わせて作る、甘い香りのたばこ。それまでの、刺激の強い生のたばことは大きく異なるものでした
- カフェ文化:水たばこを楽しめるカフェが、若者の集まる場所になった
- マスメディア:メディアを通じて、水たばこのイメージが広がった
- 規制の緩さ:水たばこへの規制が弱かった
論文は、中東からの移住者が海外で開いたカフェをきっかけに、水たばこの文化が各地に広がったことにも触れ、ロンドンだけで約400軒の水たばこカフェがあったとしています。現代のシーシャの多くがフルーツやミントなどの甘い香りを楽しむものになっているのは、このフレーバーたばこの広がりと深く関係しています。
日本のシーシャブーム
日本でも、シーシャは若い世代を中心に広がっています。
- 日本経済新聞(2024年10月):「2軒目、シーシャでいいよね」という見出しで、シーシャの店舗が全国で1,600店を超え、東京都内ではスターバックスより多いと伝えています
- 東京都(2025年3月):都内の水たばこ専門店を、検索サイトの掲載数で437店舗(2025年3月13日時点)と数えています
- 現代ビジネス(2024年5月):コロナ禍以降、シーシャが若い世代に広がっていること、友人と座って話す場所として、ゆったり過ごす時間を楽しむ場として使われていることを紹介しています
かつて中東やインドで親しまれた水たばこが、甘いフレーバーとカフェ文化を通じて、日本では「ゆっくり過ごすための場所」として受け入れられている、と言えそうです。
歴史を知ったうえで、知っておきたいこと
長い歴史を持つシーシャですが、たばこ製品であることに変わりはありません。1990年代の広がりを分析した同じ論文は、フレーバーたばこやカフェ文化とあわせて、規制の緩さも広がりの要因に挙げています。
- 日本では、シーシャは20歳から。20歳未満は喫煙エリアに立ち入れません(「シーシャは何歳から?」)
- 炭を使うため、一酸化炭素が発生します(「シーシャで気分が悪くなる原因」)
- 水は煙をろ過しません(「シーシャは危険?」)
よくある質問
Q. シーシャはどこの国の文化?
A. 起源には諸説あり、はっきりしていません。インドで生まれたという説がよく知られていますが、ペルシャや中東、北アフリカなど、広い地域で親しまれてきました。
Q. 「シーシャ」と「フーカー」は違うもの?
A. 同じ水たばこを指す、地域による呼び名の違いです。
Q. 甘いフレーバーは昔からあったの?
A. 研究によると、糖蜜やグリセリン、果物のエッセンスで作るフレーバーたばこが広がったのは1990年代初めごろです。それ以前は、刺激の強い生のたばこが使われていたとされています。
まとめ
- 水たばこは、アフリカとアジアで少なくとも400年前から使われてきた(WHO)
- 起源には諸説あり、インド起源説がよく知られている
- 「シーシャ」「フーカー」「ナルギレ」は地域による呼び名の違い
- 1990年代、フレーバーたばことカフェ文化で若い世代に広がった
- 日本では2020年代にシーシャカフェが増え、全国1,600店超と報じられている
シーシャの仕組みや吸い方は「シーシャ(水たばこ)とは?」をご覧ください。
学芸大学の shisha bar IORI ではこうです
- フレーバーは150種類以上。ユズ・抹茶・サクラ・焼き芋など、和のフレーバーもそろえています
- 換気を入念に行い、一酸化炭素チェッカーで定期的に店内の一酸化炭素濃度を点検しています
- ご利用は20歳以上の方に限ります
参考
- World Health Organization “Advisory note: waterpipe tobacco smoking”
- 1911 Encyclopædia Britannica “Hookah”
- Maziak W, et al. Tobacco smoking using a waterpipe: a re-emerged strain in a global epidemic. Tobacco Control, 2004
- Maziak W, et al. The global epidemiology of waterpipe smoking. Tobacco Control, 2015
- ナイジェリアのメディアにおけるシーシャの扱いに関する研究(PMC6662787、WHO の資料を引用)
- Japan Shisha Times(シーシャの基礎知識)
- 日本経済新聞「2軒目、シーシャでいいよね 都内は店舗数スタバ超え」(2024年10月14日)
- 東京都 報道発表(2025年3月、水たばこ(シーシャ)は一酸化炭素中毒の危険あり)
- 現代ビジネス(2024年5月28日)

