「シーシャを吸っていたら、くらっとした」「頭が痛くなって、気持ち悪くなった」。シーシャで体調が悪くなる原因は、大きく分けてニコチンと**一酸化炭素(CO)**の2つが考えられます。とくに一酸化炭素中毒は、店を出たあとに意識を失った例も報告されている、見過ごしてはいけない症状です。
この記事では、2つの原因の違いと、その場での対処、救急車を呼ぶ目安、予防のポイントを、公的機関の情報をもとに整理しました。なお、この記事は医療的な助言ではありません。症状が重いとき、判断に迷うときは、医療機関や救急相談窓口に相談してください。
ヤニクラとは:たばこを吸ったあとに「くらっ」とする感覚を指す俗語で、公的な医学用語ではありません。シーシャでは、ニコチンによる反応のほか、炭から出る一酸化炭素が関わっている可能性もあります(NCSCT)。
「ヤニクラ」とは
「ヤニクラ」は、たばこを吸ったあとに「くらっ」とする感覚を指す俗語です。公的な医学用語ではなく、定義もありません。一般には、ニコチンによる一時的な体の反応を指して使われることが多い言葉です。
ニコチンは、吸い込むとすみやかに脳に届き、覚醒やリラックスといった作用をもたらします(厚生労働省)。また、血管を収縮させて血圧を上げる作用があります(厚生労働省 e-ヘルスネット)。厚生労働省の資料では、たばこを吸わない人はニコチンへの耐性がないため、吐き気やめまい、腹痛などの症状が現れやすいとされています。
ただし、シーシャで「くらっとする」原因は、ニコチンだけとは限りません。英国の禁煙支援機関 NCSCT は、シーシャの利用者がよく口にする「ふわっとする感覚」は、一酸化炭素中毒の初期段階を反映している可能性があると指摘しています。
一酸化炭素中毒とは
シーシャでは、フレーバーを熱するために炭を使います。一酸化炭素は、この炭や、燃やしたたばこの葉などから発生します(消費者庁)。一酸化炭素は色もにおいもない気体のため(日本中毒情報センター)、発生していても気づきにくいのが特徴です。
炭の種類や炭替えについては「シーシャの炭の種類と炭替え」で詳しく解説しています。
主な症状
米国疾病予防管理センター(CDC)や英国の国民保健サービス(NHS)は、一酸化炭素中毒の症状として次のようなものを挙げています。
- 頭痛
- めまい
- 吐き気・嘔吐
- 体のだるさ・脱力感
- 胸の痛み、息苦しさ
- 意識の混乱
大量に吸い込むと、意識を失ったり、命に関わったりすることがあります(CDC)。NHS は、症状が「その部屋にいると悪化し、離れるとよくなる」ことがあると説明しています。
シーシャでの実例
消費者庁は、水たばこを利用した客が店を出たところで意識を失って転倒し、一酸化炭素中毒と診断された例や、20代の利用者が店を出たあとに息苦しさを感じ、電車を降りたあとに立てなくなって意識を失った例を紹介しています。
東京都が2025年3月に公表した調査では、水たばこを吸った人の36.2%、同じ空間にいた人の22.2%が「具合が悪くなった」「ふらついてケガをした」などの経験があると答えました。都の試験では、閉め切った部屋でシーシャを使うと、1〜2時間で頭痛や吐き気が出るほどの一酸化炭素濃度になったとしています。吸っている本人だけでなく、同じ部屋にいる人にも影響が出る点に注意が必要です。
ニコチンと一酸化炭素、見分けられる?
| ニコチンによる反応(いわゆるヤニクラ) | 一酸化炭素中毒 | |
|---|---|---|
| 原因 | たばこの葉に含まれるニコチン | 炭などの燃焼で出る一酸化炭素 |
| ノンニコチンでも起こる? | 起こらない | 起こる |
| 主な症状 | 吐き気、めまい など | 頭痛、めまい、吐き気、息苦しさ、意識の混乱 など |
| 周りの人 | 基本的には吸った本人 | 同じ部屋にいる人にも起こりうる |
症状は重なる部分が多く、その場で見分けるのは難しいと考えておきましょう。ノンニコチンのフレーバーでも一酸化炭素は発生するため、「ニコチンが入っていないから大丈夫」とは言えません(CDC)。
起こりやすい状況
公的機関の情報から、次のような状況では注意が必要です。
- 換気が不十分な場所:東京都や消費者庁は、換気が十分かどうかを確認するよう呼びかけています
- 長時間の利用:シーシャ1回の燃焼時間は1時間前後と長く、そのあいだ一酸化炭素が出続けます(消費者庁)
- たばこを吸い慣れていない人:ニコチンへの耐性がないため、吐き気やめまいが出やすいとされています(厚生労働省)
- 酒に酔っているとき:CDC は、酔っている人は一酸化炭素中毒の症状に気づく前に命を落とすおそれがあるとしています
お酒と一緒に楽しむときの注意点は「シーシャとお酒」にまとめています。
妊娠中・授乳中のシーシャや受動喫煙について公的機関が示している情報は「妊娠中・授乳中のシーシャ(水たばこ)」にまとめています。
その場での対処
体に異変を感じたら、すぐに次の行動をとってください。
- 吸うのをやめる:消費者庁は、意識障害・頭痛・吐き気など体調に異変を感じたら、すぐに利用を中止するよう呼びかけています
- 新鮮な空気のある場所へ:CDC は、一酸化炭素中毒が疑われるときは新鮮な空気のある場所へ移り、すぐに医療機関を受診するよう求めています
- スタッフや一緒にいる人に伝える:ひとりで我慢せず、周りに知らせましょう
- 自分で運転しない:CDC は、一酸化炭素中毒が疑われるときは自分で車を運転せず、ほかの人に運転してもらうよう注意しています
- 症状があれば受診する:日本中毒情報センターは、めまいや頭痛などの症状が出ている場合は、すぐに医療機関を受診するよう呼びかけています
むせる・咳が出る・喉が痛いときの原因と対処は「シーシャでむせる・咳が出る・喉が痛いのはなぜ?」にまとめています。
救急車を呼ぶ目安
総務省消防庁は、大人で次のような症状があるときは、ためらわずに119番通報するよう示しています。
- 意識がない(返事がない)、または様子がおかしい(もうろうとしている)
- 突然の激しい頭痛
- 支えなしで立てないほど、急にふらつく
- 急な息切れ、呼吸困難
- 冷や汗を伴うような強い吐き気
119番に電話すべきか迷ったときは、救急相談窓口(#7119など)に相談できます。医師や看護師などが電話で助言し、緊急性が高い場合は119番に転送してくれます(消防庁)。
予防のポイント
- 換気のよい店・席を選ぶ:東京都は、換気扇をつけたり扉や窓を開けたりして、室内の一酸化炭素濃度を下げるよう呼びかけています
- ゆっくり、間を空けて吸う:無理に続けて吸わないようにしましょう(吸い方の基本は「シーシャの吸い方のコツ」)
- 体調がすぐれない日は控える:違和感があれば、その日は無理をしないことが大切です
- 一緒にいる人の様子にも気を配る:周りの人にも症状が出ることがあります
- スタッフに遠慮なく伝える:気分が悪いときは、すぐに声をかけましょう
シーシャのリスク全体(水はろ過しない、「たばこ何本分」の読み方、依存性など)は「シーシャは危険?」にまとめています。
よくある質問
Q. ノンニコチンなら気分が悪くならない?
A. ニコチンによる反応は起こりませんが、炭を使う以上、一酸化炭素は発生します。一酸化炭素中毒には注意が必要です。
Q. 少し休んだら治りました。受診しなくていい?
A. 一酸化炭素中毒は、店を出たあとに意識を失った例も報告されています。めまいや頭痛などの症状があった場合は、医療機関を受診するよう日本中毒情報センターは呼びかけています。判断に迷ったら #7119 などに相談しましょう。
Q. 一緒にいた友人も頭が痛いと言っています。
A. 同じ部屋にいた人にも一酸化炭素の影響が出ることがあります(東京都)。全員で新鮮な空気のある場所へ移り、症状があれば受診してください。
まとめ
- シーシャで気分が悪くなる原因は、主にニコチンと一酸化炭素
- 「ヤニクラ」は俗語。くらっとする感覚には、一酸化炭素が関わっている可能性もある
- 一酸化炭素は色もにおいもなく、ノンニコチンでも発生し、周りの人にも影響する
- 異変を感じたら、すぐに吸うのをやめて新鮮な空気の場所へ。症状があれば受診、重い症状は119番
- 換気のよい場所で、ゆっくり、体調のよいときに
シーシャの基本は「シーシャ(水たばこ)とは?」、ニコチンを避けたい方は「ノンニコチン・シーシャとは?」もあわせてどうぞ。
学芸大学の shisha bar IORI ではこうです
- 気分が悪くなったときは、遠慮なくスタッフに声をかけてください
- 換気を入念に行い、一酸化炭素チェッカーで定期的に店内の一酸化炭素濃度を点検しています
- ニコチンを避けたい方には、ノンニコチンのフレーバーを36種類ご用意しています
- ご利用は20歳以上の方に限ります
参考
- 厚生労働省「禁煙補助剤(ニコチン製剤)の手引き」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ニコチン」
- 消費者庁(水たばこによる一酸化炭素中毒への注意喚起、2023年5月)
- 消費者庁(禁煙週間に合わせた水たばこへの注意喚起、2026年5月)
- 東京都 報道発表(2025年3月、水たばこ(シーシャ)は一酸化炭素中毒の危険あり)
- 日本中毒情報センター「一酸化炭素について」
- 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」
- Centers for Disease Control and Prevention “Carbon Monoxide Poisoning Basics”
- CDC/NIOSH “Carbon Monoxide”
- Centers for Disease Control and Prevention “Hookahs”
- NHS “Carbon monoxide poisoning”
- NCSCT “Waterpipe tobacco smoking: briefing”
- Retzky SS. Carbon Monoxide Poisoning from Hookah Smoking: An Emerging Public Health Problem. J Med Toxicol, 2017


