「電子シーシャ」という言葉を見かけることがあります。名前に「シーシャ」と付いていますが、シーシャのお店で炭を使って楽しむ「シーシャ(水たばこ)」とは、仕組みも、法律上の扱いも異なるものです。
「電子シーシャ」は公的な用語ではなく、主に電子たばこを指して使われることがある呼び名です。この記事では、電子たばことしての「電子シーシャ」と、本来のシーシャ(水たばこ)の違いを、厚生労働省や世界保健機関(WHO)などの公的情報をもとに整理しました。医療的な助言ではないため、健康に不安がある方は医師に相談してください。
まず結論:電子シーシャとシーシャは別物
| 電子シーシャ(電子たばこ) | シーシャ(水たばこ) | |
|---|---|---|
| 仕組み | 香料などを含む液体を電気で加熱し、蒸気を吸う | 炭でたばこの葉(またはその代わりのもの)を熱し、煙を水にくぐらせて吸う |
| 熱源 | 電気 | 炭 |
| たばこの葉 | 使わない | 使う(ノンニコチンのフレーバーを除く) |
| ニコチン | 日本ではニコチン入りリキッドの販売には許可が必要 | 含む(ノンニコチンのフレーバーを除く) |
| 法律上の扱い | ニコチンなしの製品は、たばこ事業法のたばこ製品に分類されない | たばこ製品。20歳未満は利用できない |
仕組みの違い
電子シーシャ(電子たばこ)
厚生労働省の e-ヘルスネットは、電子たばこを、香料などを含む溶液を電気的に加熱し、発生させたエアロゾル(蒸気)を吸入する製品と説明しています。たばこの葉は使いません。
シーシャ(水たばこ)
国税庁は、水たばこを、たばこまたはたばこを含むものを燃焼または加熱し、水パイプを使ってたばこの成分を吸引するものと説明しています。熱源に炭を使い、煙を水にくぐらせてからホースで吸います。器具の仕組みは「シーシャの器具の名前と役割」、紙巻きたばこや加熱式たばことの違いは「シーシャと紙巻き・加熱式・電子たばこの違い」をご覧ください。
日本の法律上の扱い
ニコチン入りリキッドは「医薬品」の扱い
e-ヘルスネットによると、日本では医薬品医療機器等法(薬機法)により、ニコチンを含むリキッドの販売には許可が必要です。厚生労働省と消費者庁は2010年、ニコチンを含む電子たばこを販売することは、無承認無許可医薬品等の販売として薬事法違反が疑われるとする通知を出しています。
個人輸入については、厚生労働省の質疑応答集で、ニコチンを含むカートリッジやリキッドは医薬品にあたり、税関で確認なしに輸入できるのは1か月分(カートリッジは60個、リキッドは120mlまで)とされています。ニコチンを含まないカートリッジやリキッドは、この法律の規制対象にはならないとしています。また、リキッドを加熱する器具本体は医療機器にあたり、個人輸入できるのは1台(予備を含めて2台)までとされています。
ニコチンなしの製品と年齢
e-ヘルスネットは、ニコチンを含まない電子たばこは、たばこ事業法のたばこ製品に分類されないため、未成年を含む若年者も購入可能になっていると説明しています。
一方、シーシャ(水たばこ)はたばこ製品です。20歳未満の喫煙は法律で禁止されており、改正健康増進法により、20歳未満の人は喫煙を目的としない場合でも喫煙エリアに立ち入ることができません(「シーシャは何歳から?」)。
「ニコチンなし」の表示に注意
厚生労働省は2010年、国民生活センターの調査で、「ニコチンを含まない」として販売されていた電子たばこの一部から、実際にはニコチンが検出されたことを紹介しています。WHO も、ニコチンなしとされる製品の一部からニコチンが見つかっているとしています。
健康面で公的機関が示していること
電子たばこ
- 厚生労働省 e-ヘルスネット:ニコチンの有無にかかわらず、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといった発がん性物質などを発生する製品があると報告されているとしています
- WHO:電子たばこは健康に有害であり、安全ではないことがエビデンスから明らかだとしています
- 米国疾病予防管理センター(CDC):電子たばこを含め、安全なたばこ製品はないとし、ニコチンには強い依存性があり、およそ25歳ごろまで続く脳の発達に悪影響を及ぼしうるとしています
- 米国の若者の利用:米国食品医薬品局(FDA)の2025年の全国調査では、中高生の5.2%(約144万人)が電子たばこを使用しており、使用者がもっとも多く使っていたのは使い捨てタイプ(66.3%)でした
- 米国の EVALI:CDC は、米国で2019〜2020年に電子たばこ(ベイプ)の使用に関連した重い肺の病気(EVALI)が発生し、2020年2月18日時点で2,807人が入院または死亡(死亡確認68人)したと報告しています。CDC は、ビタミンEアセテートがこの流行と強く関連し、多くの事例は THC(大麻の成分)を含む製品に関連していたとしています
シーシャ(水たばこ)
- 水は煙をろ過しない(CDC)
- 炭から一酸化炭素や金属、発がん性物質が多く発生しうる(CDC)
- ノンニコチンのフレーバーでも、炭を使う以上、一酸化炭素は発生する(CDC)
シーシャのリスクは「シーシャは危険?」、ノンニコチンについては「ノンニコチン・シーシャとは?」で詳しく解説しています。
よくある誤解
「電子シーシャはシーシャの電子版だから、同じもの」
名前は似ていますが、電子シーシャは液体を電気で加熱する電子たばこで、シーシャは炭でたばこの葉などを熱して水を通すものです。
「ニコチンなしなら体に影響はない」
e-ヘルスネットは、ニコチンの有無にかかわらず、発がん性物質などを発生する製品があるとしています。WHO も電子たばこは安全ではないとしています。
「電子シーシャが買えるならシーシャのお店にも入れる」
シーシャのお店の喫煙エリアは、20歳未満の人は立ち入れません。ニコチンなしの電子たばこの購入の扱いとは別の話です。
よくある質問
Q. 電子シーシャに年齢制限はある?
A. e-ヘルスネットは、ニコチンを含まない電子たばこはたばこ事業法のたばこ製品に分類されないため、未成年を含む若年者も購入可能になっているとしています。一方、シーシャ(水たばこ)は20歳以上でなければ利用できません。
Q. 電子シーシャは体に悪い?
A. WHO は電子たばこについて、健康に有害で安全ではないとしています。e-ヘルスネットも、ニコチンの有無にかかわらず発がん性物質などを発生する製品があるとしています。
Q. シーシャのお店で電子シーシャは使える?
A. お店によって異なります。使う前にスタッフに確認しましょう。
まとめ
- 「電子シーシャ」は公的な用語ではなく、主に電子たばこを指して使われることがある呼び名
- 電子シーシャは液体を電気で加熱、シーシャは炭でたばこの葉などを熱して水を通す
- 日本では、ニコチン入りリキッドの販売には薬機法上の許可が必要
- ニコチンなしの電子たばこは、たばこ事業法のたばこ製品には分類されない。一方、シーシャは20歳以上
- 公的機関は、電子たばこもシーシャも安全とはしていない
学芸大学の shisha bar IORI ではこうです
- IORI のシーシャは、炭でフレーバーを熱して水を通す、本来の水たばこです
- ニコチンを避けたい方には、ノンニコチンのフレーバーを36種類ご用意しています
- 換気を入念に行い、一酸化炭素チェッカーで定期的に店内の一酸化炭素濃度を点検しています。ご利用は20歳以上の方に限ります
参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「電子たばこ」
- 厚生労働省 通知(ニコチンを含有する電子タバコについて、2010年)
- 厚生労働省「電子タバコの使用について」(2010年)
- 厚生労働省 医薬品等輸入手続質疑応答集(2025年)
- 国税庁(平成30年度税制改正 たばこ税関係)
- 厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙」
- World Health Organization “Tobacco: E-cigarettes”
- Centers for Disease Control and Prevention “Health Effects of Vaping”
- Centers for Disease Control and Prevention “Outbreak of Lung Injury Associated with the Use of E-Cigarette, or Vaping, Products”(アーカイブ)
- Centers for Disease Control and Prevention “Hookahs”
- U.S. Food and Drug Administration “Results from the Annual National Youth Tobacco Survey”

