「シーシャって、たばこほど依存しないんじゃない?」「週末だけなら大丈夫?」。シーシャは時間をかけてゆっくり楽しむものなので、紙巻きたばこと比べて依存しにくいと思われることがあります。
この記事では、シーシャ(水たばこ)の依存性について、公的機関が示していること、研究で報告されていること、そして依存が気になるときの相談先を整理しました。医療的な助言ではないため、心配なことがある場合は医師や薬剤師に相談してください。
結論:シーシャにも依存性がある
- 米国疾病予防管理センター(CDC)は、シーシャに含まれるニコチンは、ほかのたばこ製品と同じ「依存性の高い化学物質」だとしています
- 米国食品医薬品局(FDA)は、シーシャはニコチンという依存性のある薬物を体に届け、ニコチンが脳の働き方を変え、さらに欲しくなる気持ち(渇望)を引き起こすとしています
- 世界保健機関(WHO)東地中海地域事務局は、水たばこには強い依存性があると明記しています
「水を通すから」「ゆっくり吸うから」依存しない、ということはありません。
ニコチン依存のしくみ
厚生労働省の e-ヘルスネットは、ニコチン依存症を「血中のニコチン濃度がある一定以下になると不快感を覚え、喫煙を繰り返してしまう疾患」と説明しています。
ニコチンを吸うと、脳内でドーパミンが放出され、心地よさを感じます。ニコチンが切れると不快な離脱症状が出て、それを和らげるためにまた吸う、というサイクルが生まれます。これが依存のしくみです。
シーシャ1回のニコチン曝露
CDC は、シーシャ1回のセッションで、紙巻きたばこ1本と比べて約1.7倍のニコチンと、約9倍の一酸化炭素にさらされる可能性があるとしています。
また、WHO 東地中海地域事務局は、無香料のたばこ1ボウルのニコチン量は、紙巻きたばこ2〜12本分に相当するとしています。こうした数字は吸い方や測定条件によって変わりますが、「1回あたりのニコチン量は少なくない」と理解しておくのがよいでしょう。数字の読み方は「シーシャは危険?」で詳しく解説しています。
「たまに」でも依存は起こりうる
シーシャは、紙巻きたばこのように毎日決まった本数を吸うのではなく、週末に友人と、といった楽しみ方をされることが多いものです。英国の禁煙支援機関 NCSCT も、水パイプは紙巻きたばことは違い、断続的に、グループで吸われることが多いとしています。
一方で、NCSCT は、水たばこには依存を引き起こす可能性があり、その依存のパターンは紙巻きたばことは異なる可能性が高いとしています。香りや味、泡の音といった感覚や、人と集まる場面が、吸いたくなるきっかけになりうることも指摘しています。ロンドンのシーシャカフェの利用者を調べた研究では、半数近くに依存の兆候が見られたと紹介しています。
研究でも、次のような報告があります。
- Aboaziza・Eissenberg(2015年):水たばこは、ニコチンを体に届けること、吸うのをやめると離脱症状が出る人がいること、やめたいと思ってもやめにくいことから、ニコチン・たばこへの依存を支えると結論づけています
- Bahelah ほか(2017年、レバノンの若者の研究):週1回未満しか吸わない人でも、自分で吸う量をコントロールしにくくなる「自律性の喪失」が57.3%、国際的な診断基準(ICD-10)でのニコチン依存が18.7%に見られたと報告しています。週1回以上(毎日ではない)の人では、それぞれ80%と46.7%でした。また、1回のセッションが長いことが依存の新しい指標になりうるとしています
「毎日ではないから大丈夫」とは言い切れない、というのが研究から見えてくることです。
ノンニコチンなら依存しない?
ノンニコチンのフレーバーにはニコチンが含まれないため、ニコチンによる依存は起こりません。ただし、炭を使う以上、煙や一酸化炭素にさらされる点は変わりません(CDC)。「ニコチンを避けること」と「体への影響をなくすこと」は別の話です。詳しくは「ノンニコチン・シーシャとは?」をご覧ください。
依存が気になるときのサイン
e-ヘルスネットの説明や、上で紹介した研究をもとにすると、次のような状態は、ニコチンへの依存が関係している可能性があります。
- シーシャやたばこを吸わないでいると、落ち着かない・イライラするなど不快に感じる
- 吸う回数や時間を自分で決めても、守れないことが多い
- やめようと思っても、なかなかやめられない
当てはまるものがあっても、自己判断で決めつけず、気になる場合は専門家に相談しましょう。
相談先:禁煙外来と薬局
禁煙外来
e-ヘルスネットによると、一定の条件を満たせば、禁煙治療は健康保険の対象になり、12週間に5回の治療を受けられます。
- ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)で5点以上であること
- 35歳以上の場合は、1日の喫煙本数×喫煙年数(ブリンクマン指数)が200以上であること
- 35歳未満の人は、2016年から、喫煙本数や喫煙年数にかかわらず保険適用の対象になりました
e-ヘルスネットは、12週間の治療を終えた人の約8割が、終了時点で4週間以上禁煙できていたとしています。
薬局・薬剤師
e-ヘルスネットによると、ニコチンガムは薬局で購入でき、ニコチンパッチには薬局で買えるものと、医療機関で処方されるものがあります。使い方は薬剤師に相談できます。
シーシャの吸い方や本数は紙巻きたばことは違うため、相談するときは「シーシャ(水たばこ)を吸っている」ことと、頻度や1回の時間を伝えるとよいでしょう。
頻度や時間を考えるときに
シーシャとの付き合い方を考えるうえで、公的情報や研究から言えるのは次のようなことです。
- シーシャにもニコチン依存のリスクがある(CDC・FDA・WHO 東地中海地域事務局)
- 毎日でなくても、依存の兆候が見られた研究がある(Bahelah ほか)
- 1回のセッションが長いほど、ニコチンや一酸化炭素への曝露は多くなりうる(CDC・Bahelah ほか)
- 若いうちに喫煙を始めるほど、依存度の高い人が多くなる(e-ヘルスネット)。日本では20歳未満の喫煙は禁止されています(「シーシャは何歳から?」)
1台の持ち時間の目安は「シーシャは何時間楽しめる?」、紙巻き・加熱式・電子たばことの違いは「シーシャと紙巻き・加熱式・電子たばこの違い」をご覧ください。
よくある質問
Q. 週末だけなら依存しない?
A. 研究では、週1回未満の利用者でも依存の兆候が見られたと報告されています(Bahelah ほか、2017年)。頻度が少なくても、依存のリスクがないとは言えません。
Q. シーシャは紙巻きたばこより依存しにくい?
A. NCSCT は、依存のパターンが紙巻きたばことは異なる可能性が高いとしていますが、依存を引き起こす可能性があることには変わりありません。
Q. シーシャだけでも禁煙外来に相談できる?
A. 保険適用には条件があります(TDS など)。まずは医療機関に「シーシャを吸っている」と伝えて相談してみましょう。
まとめ
- シーシャのニコチンにも依存性がある(CDC・FDA・WHO 東地中海地域事務局)
- 1回のセッションで、紙巻きたばこ1本より多いニコチンにさらされる可能性がある(CDC)
- 毎日でなくても、依存の兆候が見られた研究がある
- ノンニコチンなら依存は起こらないが、煙と一酸化炭素は残る
- 気になるときは、禁煙外来や薬剤師に相談を
学芸大学の shisha bar IORI ではこうです
- ニコチンを避けたい方には、ノンニコチンのフレーバーを36種類ご用意しています。フレーバー選びはスタッフにご相談ください
- 換気を入念に行い、一酸化炭素チェッカーで定期的に店内の一酸化炭素濃度を点検しています
- ご利用は20歳以上の方に限ります
参考
- Centers for Disease Control and Prevention “Hookahs”
- U.S. Food and Drug Administration “Hookah Tobacco (Shisha or Waterpipe Tobacco)”
- WHO EMRO “Tobacco Free Initiative fact sheet: waterpipe tobacco smoking”
- NCSCT “Waterpipe tobacco smoking: briefing”
- Aboaziza E, Eissenberg T. Tobacco Control, 2015(水たばことニコチン依存のエビデンス)
- Bahelah R, et al. Addictive Behaviors, 2017(レバノンの若者の水たばこ依存)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ニコチン依存症」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「禁煙治療ってどんなもの?」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「禁煙のおくすり」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「若者の健康と喫煙」


